鍼灸でみる【不眠(睡眠障害)】〜東洋医学編〜

2024年02月20日 12:00

こんにちは。
京浜東北線「大森駅」から徒歩10分、大田区山王で鍼灸マッサージを行なっております。
山王はりきゅうマッサージ処りゅうしん堂の大西です。
ブログをご覧いただきありがとうございます!

疲れているのになかなか眠れない…
ぐっすり寝たいのに夜中に目が覚めてしまう…
そんな経験をしたことはありませんか?
今回はそんな不眠(睡眠障害)について東洋医学ではどう考えているのかみていきたいと思います!

不眠で悩んでいる写真

不眠とは?

不眠(睡眠障害)とは以下のような症状があり、そのせいで日中の眠気や疲労感、集中力の低下やイライラなど日常生活に影響が出ている状態のことをいいます。

・入眠困難
→なかなか寝付けず寝るのに20〜30分以上かかる
・中途覚醒
→夜中に何度も目が覚めてしまう
・早朝覚醒
→起きる時間よりも30分以上早く目が覚めてしまう
・熟睡困難
→ぐっすり寝た感じがしない

東洋医学では睡眠と関係が深い臓腑は心(しん)と言われています。
心は精神や意識の働きを主宰する機能があり、脳の働きも心に属しているので睡眠を維持するのも心の働きが関わってきます。
心がかき乱されたり(心神擾乱)、心が十分に滋養されない(心神失養)ことで不眠など睡眠障害が起こります。

不眠の病態

不眠の病態でよくみられるのは次の4つになります。

①上逆・内熱
②痰熱
③陰虚
④血虚

①目が冴えて寝付けない!上逆・内熱

気や熱が上にのぼり心がかき乱され発症する。

・主な原因

⬜︎ストレス など

・症状の特徴

⬜︎入眠困難になりやすい
⬜︎夢を見やすい
⬜︎イライラしやすい
⬜︎めまいや頭痛、胸の張り など

※夢ははっきり覚えていることが多く、悪夢になりやすいので熟睡できず悪循環になることも…

②余分な水分と熱で起こる不眠!痰熱

胃腸に熱と痰湿(余分な水分)が溜まり、それが心をかき乱し発症する。

・主な原因

⬜︎暴飲暴食 など

・症状の特徴

⬜︎入眠困難になりやすい
⬜︎お腹の張りや胸焼け
⬜︎下痢 など

※お酒や味の濃いものをよく食べる人は注意。

③潤い不足で身体がほてり眠れない…陰虚

陰液(血や津液など身体を潤す力)が不足し心を十分に滋養できず、相対的に熱が強くなり心がかき乱され発症する。

・主な原因

⬜︎加齢
⬜︎過労
⬜︎久病 など

・症状の特徴

⬜︎入眠困難
⬜︎中途覚醒
⬜︎熟睡困難
⬜︎寝汗や手足のほてり など

※覚醒と睡眠の切り替えがうまくできなくなる。

④心を養えず睡眠を維持できない…血虚

血の不足または消耗が激しく心を十分に滋養できず発症する。

・主な原因

⬜︎貧血
⬜︎食欲不振
⬜︎生理などで出血が多い など

・症状の特徴

⬜︎中途覚醒が多い
⬜︎熟睡困難になりやすい
⬜︎夢を見やすい など

※上逆・内熱とは違い夢は内容を覚えていないことが多い。

不眠の施術方法

不眠全般に使うツボ(基本穴)と病態別のツボを紹介します。

○基本施術

どの病態であれ心に影響して不眠が起こるため基本施術は心や脳へのアプローチとなります。
そのため心に関連する経絡にある神門や頭のツボである百会、四神聡をよく使います。

不眠のツボ

○病態別施術

基本取穴に病態ごとのツボを合わせていきます。

①上逆・内熱

ストレスなどを落ち着かせ上った気を下す目的で太衝、内関、風池などを合わせます。

②痰熱

胃腸の熱や痰湿を取るため内庭や豊隆などを使います。

③陰虚

不足した潤いが増やせるように太渓や復溜などを合わせます。

④血虚

血を補う、しっかりと作れるようにするために三陰交や足三里などを使います。

※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態やお話を聞いた内容によって変えていきます。

不眠のセルフケア

不眠のセルフケアを3つ紹介します。

①無理に寝ようと頑張らない

眠れないのに無理に寝ようとベッドの中で頑張っているとベッド=眠れない場所、苦しい行為と頭の中にイメージができてしまい余計に眠れなくなってしまいます。
眠れない時はベッドから出る、何時に寝ても起きる時間を同じにするなどアプローチの方法を変えてみましょう。

②適度な飲水、飲酒

飲酒などが多い場合は湿熱になりやすく、逆に飲水などが少なすぎると潤う力が低下し陰虚となるため飲みすぎ飲まなすぎには気をつけましょう。

③深部体温を下げる

深部体温を下げて皮膚温度を上げると眠りやすくなります。
手足から熱放散することで深部体温が下がるので、寝る前の足湯などは熱放散を高めるのでおすすめです。
逆に靴下を履いたまま寝たり、電気毛布を入れたまま寝ると熱放散が起きず睡眠の質が悪くなるので注意しましょう。

いかがだったでしょうか?
ご自身の症状に近いものはありましたか?
寝たいのに眠れない…それはつらい状態だと思います。
まずはお気軽ご相談ください。

りゅうしん堂 大西

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年

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