鍼灸でみる【下痢】〜東洋医学編〜

2024年04月16日 12:00
カテゴリ: 東洋医学症状

こんにちは。
京浜東北線「大森駅」から徒歩10分、大田区山王で鍼灸マッサージを行なっております。
山王はりきゅうマッサージ処りゅうしん堂の大西です。
ブログをご覧いただきありがとうございます!

以前のブログで便秘についてみていきました。
同じような原因でも便秘になる人もいれば下痢になる人もいます。
今回は東洋医学では下痢をどう考えているのかみて行きたいと思います!

下痢の写真

下痢とは?

便の中の水分量が増加した状態。
下痢の持続期間が2週間以内のものが急性下痢、4週間以上のものが慢性下痢に分類される。

東洋医学では飲食物の消化吸収と便の排泄には脾胃(胃腸)が関わっていると考えられています。
また、肝の気を調節する機能は脾胃の働きを補助し、肺や腎は津液(水分)の代謝に関わっています。
そのため脾胃以外にも肝や肺、腎に機能失調があることでも下痢になる可能性があります。

下痢の病態

下痢の病態でよくみられるのは次の6つになります。

①寒湿
②湿熱
③食滞
④肝脾不和
⑤脾胃虚弱
⑥腎陽虚

①冷えてお腹を下す…寒湿

寒邪、湿邪が脾胃の機能を低下させ発症する。

・主な原因

⬜︎寒い環境でお腹を冷やす など

・症状の特徴

⬜︎水様便または未消化便
⬜︎悪臭はない
⬜︎食欲低下
⬜︎腹痛 など

※悪寒や発熱などが併発し胃腸カゼになることも

②飲酒、辛いものの偏食で下す!湿熱

湿邪、熱邪が脾胃の機能低下を引き起こし発症する。

・主な原因

⬜︎大量の飲酒
⬜︎辛いものの食べすぎ など

・症状の特徴

⬜︎便の粘性が強く、スッキリ出ない
⬜︎臭いが強い
⬜︎腹痛
⬜︎肛門部に灼熱感を感じる など

※飲みすぎた次の日などに起こりやすい

③飲食の乱れで下す!食滞

飲食の乱れで消化不良となり発症する。

・主な原因

⬜︎生ものや冷えたもの食べすぎ
⬜︎脂肪分の多い食べ物の偏食 など

・症状の特徴

⬜︎お腹が張る
⬜︎腹痛、便が出ると腹痛は軽減する
⬜︎口の中が酸っぱく感じる
⬜︎便は悪臭を伴う など

※食べすぎ注意!

④ストレスで下す!肝脾不和

情志の変化や精神緊張によって肝の機能が失調、その影響が脾に波及し発症する。

・主な原因

⬜︎ストレス
⬜︎緊張 など

・症状の特徴

⬜︎普段から胸やお腹の張りを感じる
⬜︎精神的な緊張を感じると腹痛が起こる
⬜︎食欲不振
⬜︎口の中が酸っぱく感いる
⬜︎ゲップが出る など

※過敏性腸症候群などもこのタイプであることが多い。

⑤胃腸が弱く下す…脾胃虚弱

慢性疲労や慢性病などで脾胃の機能が低下して発症する。

・主な原因

⬜︎胃腸が弱い など

・症状の特徴

⬜︎食欲不振
⬜︎疲労感や倦怠感 など

※胃腸が弱く消化吸収がうまく出来ない。

⑥老化で下す…腎陽虚

慢性病や老化により腎陽虚となり発症する。

・主な原因

⬜︎長患い
⬜︎高齢 など

・症状の特徴

⬜︎五更泄瀉(早朝に腹痛と共に下痢が起こる)
⬜︎手足の冷え
⬜︎足腰のだるさ など

※胃腸を温める力が弱くなっている。

下痢の施術方法

下痢全般に使うツボ(基本穴)と病態別のツボを紹介します。

○基本施術

下痢はどの病態でも脾胃の機能が失調して起こります。
そのため基本施術は脾のツボである陰陵泉、胃のツボである足三里をよく使います。

下痢のツボ

○病態別施術

上記のツボにそれぞれの病態に関連するツボを合わせていきます。

①寒湿

冷えを取るため中脘や関元などお腹のツボにお灸を行います。

②湿熱

熱を取るツボの曲池などを使います。

③食滞

消化不良を改善するため中脘や天枢などを合わせます。

④肝脾不和

肝の機能を改善し気のめぐりを良くするため太衝や内関などのツボを使います。

⑤脾胃虚弱

弱った脾胃を強くするため脾兪などを活用します。

⑥腎陽虚

腎の機能を高めるツボとして太渓や腎兪などを追加します。

※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態やお話を聞いた内容によって変えていきます。

下痢のセルフケア

下痢のセルフケアを3つ紹介します。

①お腹を冷やさない

お腹が冷えることで下痢になったり症状が悪化することがあります。
お腹を冷やさないように気をつけましょう。

②偏食を避ける

辛いものの食べ過ぎや特定の食べ物の偏食は胃腸に負担をかけるため、バランスのいい食事を心がけましょう。

③ストレスを溜めない

過敏性症候群などストレスで下痢が起こるためストレスを溜めないことが大切です。
適度な運動はストレス発散にもなりオススメです。

いかがだったでしょうか?
ご自身の症状に近いものはありましたか?
急性で症状が激しいのも、嘔吐を伴うものなどは食中毒や腹膜炎の可能性もあります、その場合はまずは病院へ行くことをお勧めします。

りゅうしん堂 大西

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年

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