腰痛とは？



腰痛が起こる原因を大きく分けると背骨（腰椎）からくるものと筋からくるものがあります。

腰椎由来のものは、腰椎の間にある椎間板が圧迫されて飛び出す椎間板ヘルニア、腰椎自体が変形する変形性腰椎症、腰椎の中の神経の通り道が変形で狭くなる脊柱管狭窄症などがあります。
悪化すると足にしびれが出ることもあります。
高齢の腰痛ではこちらが多くあります。

筋が原因となるものは筋・筋膜性腰痛といわれ、急な外力によって生じるものや筋疲労の蓄積で起こりやすくなります。
ケガやずっと同じ姿勢で腰に負担がかかった時に起こる腰痛であり、ぎっくり腰などもこちらになります。

ただ実は、病院で調べても原因が分からない腰痛も多く存在します。
明らかな原因が見つからないものを非特異的腰痛と呼び、器質的な問題が見当たらない腰痛は心理的要因によるものと考える動きもあります。
腰痛は一生涯で約8割の人が経験すると言われています。
多くの人を悩ませている腰痛ですが、西洋医学でもまだ分かっていないことがあるのが現状です。

東洋医学でみる腰痛が起こる原因

ケガなどで腰で気血が滞る、または腰を滋養する気血が不足することで痛みが起こります。

また、東洋医学では腰は腎の府といわれ、腰と腎は密接な関係があります。
そのため、腎の機能が低下すると腰痛が起こると考えられています。

腰痛の3タイプ

腰痛では次の3タイプがよくみられます。

①気滞血瘀（きたいけつお）タイプ

気滞（気の滞り）や血瘀（血の滞り）が生じ、経絡が阻滞することで腰痛起こるタイプ。

✅急に痛くなる
✅痛みが強い

✅気滞→動かしたときの痛みがひどく、ある程度は動かせるがそれ以上動かそうとすると強い痛みが出る

✅血瘀→寝てる時にも痛みが出る、痛みは鋭い痛み（刺痛）になりやすい

などの特徴があります。

腰に無理な負担をかけたケガなどで起こりやすくなります。
ぎっくり腰などもこれに該当します。

②腎虚（じんきょ）タイプ

腎精が不足、腰を養うことができず腰痛が起こるタイプ。

✅徐々に痛くなる

✅我慢できるほどのはっきりしない痛み

✅疲れると悪化する

✅耳鳴り・難聴を伴うこともある

などが特徴です。

歳や病気などで腰が弱くなると起こりやすくなります。

③筋傷（きんしょう）タイプ

腰の気血が不足し、腰を滋養できず腰痛が起こるタイプ。

✅突っ張るような痛みやだるい痛みが出る

✅普段は慢性的な痛みで程度は強くない

✅悪化すると血瘀になり痛みが強くなることがある

などの特徴があります。

スポーツや仕事などで腰に繰り返し負荷をかけていると起こりやすくなります。
デスクワークで座りっぱなしの人は注意しましょう。

腰痛のツボ

腰痛全般に使うツボ（基本のツボ）とタイプ別に使うツボがあります。

○基本のツボ

腰周りのツボ：環跳、志室、腰眼など。
腰に関係する経絡のツボ：後溪、腰腿点、足臨泣など。

腰痛は気血の滞りか不足で起こることが多いため、腰の気血を調整するツボを使います。

③筋傷タイプ

 太衝、三陰交など。
→腰の経絡の流れを良くする効果を高める。


※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態によって変えていきます。

③運動、ストレッチ

スポーツやデスクワークなどで腰痛が出やすい場合は適度な運動やストレッチで筋肉の柔軟性を高めることで痛みが出づらくなります。
ずっと同じ姿勢をしていると気血が滞りやすくなります。
軽い運動やストレッチで流れを良くしてあげましょう。

参考：教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年

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