大田区大森・山王の鍼灸院、りゅうしん堂では
睡眠障害(不眠)をどうみるのか
東洋医学と西洋医学の視点を織り交ぜながら
ご紹介します。

睡眠障害(不眠)

睡眠障害(不眠)とは?

睡眠障害とは以下のような症状があり、そのせいで日中の眠気や疲労感、集中力の低下やイライラなど日常生活に影響が出ている状態のことをいいます。

・入眠困難

→なかなか寝付けず寝るのに20〜30分以上かかる
。
・中途覚醒

→夜中に何度も目が覚めてしまう
。
・早朝覚醒

→起きる時間よりも30分以上早く目が覚めてしまう
。
・熟睡困難

→ぐっすり寝た感じがしない。

睡眠障害(不眠)の女性

西洋医学でみる睡眠障害の原因

西洋医学では睡眠障害の原因として次の4つが考えられています。

①メンタル

自律神経が乱れて交感神経が優位(興奮状態)になることで眠れなくなります。
ストレスや緊張、不安などが原因と考えられています。

②環境要因

生活リズムの乱れや寝室の環境が悪いことでメラトニン(睡眠に関わるホルモン)の分泌が減り眠れなくなります。
夜更かしや昼夜逆転生活、寝る前のスマホ、寝室の環境が悪い(暑い寒いなど)が原因と考えられています。

③身体不調

痛みなど体の不調があることで眠が浅くなります。
肩こりや腰痛で痛くて眠れない、睡眠時無呼吸症候群などが原因と考えられています。

④ホルモンの乱れ

メラトニンやセロトニン(リラックスに関わるホルモン)不足、ドーパミンの過剰などで睡眠障害が起こります。
ストレスや食事の乱れ、運動不足が原因と考えられています。

これらはひとつの原因で起こることもあれば、くつかの原因が合わさって起こることも多くあります。

睡眠障害に鍼灸が効くメカニズム

鍼灸のメカニズムとして考えられているものに次の3つがあります。

①自律神経のバランス調節

鍼灸施術を行うと自律神経のバランスを調節できると言われています。

不眠がある人は交感神経が優位(興奮状態)になっており、鍼灸施術を行なうことで副交感神経が優位(リラックス状態)になり眠りに入りやすくなります。

②ホルモンの変化

鍼灸施術を行なうことでホルモンへの作用も期待できます。

メラトニンやセロトニンの分泌に影響し睡眠状態を改善します。

③ストレス抑制

鍼灸施術でHPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)の過剰な活動を抑える効果が示唆されています。

これはストレスに反応する経路であり、抑制されることでリラックスし睡眠改善につながります。


東洋医学でみる睡眠障害が起こる原因

東洋医学では睡眠と関係が深い臓腑は心(しん)と言われています。

心は精神や意識の働きを主宰する機能があり、脳の働きも心に属しているので睡眠を維持するのも心の働きが関わってきます。

心がかき乱されたり(心神擾乱)、心が十分に滋養されない(心神失養)ことで不眠などの睡眠障害が起こります。

睡眠障害の4タイプ

睡眠障害では次の4タイプがよくみられます。

①上逆(じょうぎゃく)・内熱(ないねつ)タイプ

気や熱が上にのぼり、心がかき乱されることで睡眠障害が起こるタイプ。

✅寝つきにくい(入眠困難)

✅夢を見やすい(多夢)

✅イライラしやすい

✅めまいや頭痛が出やすい

などの特徴があります。

ストレスなどがあると起こりやすくなります。
夢ははっきり覚えていることが多く、悪夢になりやすいので熟睡できず悪循環になることも。

②痰熱(しつねつ)タイプ

胃腸に熱と痰湿(余分な水分)が溜まり、それが心をかき乱すことで睡眠障害が起こるタイプ。

✅寝つきにくい(入眠困難)

✅お腹が張りやすい、胸焼けしやすい

✅下痢になりやすい

などの特徴があります。

暴飲暴食など食生活の乱れがあると起こりやすくなります。
お酒や味の濃いものをよく食べる人は注意が必要です。

③陰虚(いんきょ)タイプ

陰液(血や津液など身体を潤す力)が不足し、心を十分に滋養できず相対的に熱が強くなり心がかき乱されることで睡眠障害が起こるタイプ。

✅寝つきにくい(入眠困難)

✅寝ても途中で起きてしまう(中途覚醒)

✅眠りが浅い(熟睡困難)

✅寝汗や手足のほてりがある

などの特徴があります。

加齢や慢性病がある、加齢の影響などで起こりやすくなります。
覚醒と睡眠の切り替えがうまくできなくなるタイプです。

④血虚(けっきょ)タイプ

血が不足している、または消耗が激しく、心を十分に滋養できないことで睡眠障害が起こるタイプ。

✅寝ても途中で起きてしまう(中途覚醒)

✅眠りが浅い(熟睡困難)
✅夢を見やすい(多夢)

などの特徴があります。

食欲不振、貧血があるまたは生理の時の出血が多い人で起こりやすくなります。
上逆・内熱タイプとは違い、夢は内容を覚えていないことがほとんどです。

睡眠障害のツボ

睡眠障害全般に使うツボ(基本のツボ)とタイプ別で使うツボがあります。

○基本のツボ

心や脳に関連する経ツボ:神門、百会、四神聡 など。

どの病態であれ心に影響して睡眠障害が起こるため心や脳に関連するツボを使います。

睡眠障害のツボ

○タイプ別のツボ

①上逆・内熱タイプ

 太衝、内関、風池など。
→ストレスなどを落ち着かせ、上った気を下す。

②痰熱タイプ

内庭、豊隆など。
→胃腸の熱や痰湿を取る。

③陰虚タイプ

 太渓、復溜など。
→不足した潤いを増やす。

④血虚タイプ

 三陰交、足三里など。
→血を補う、しっかりと作れるようにする。



※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態によって変えていきます。

睡眠障害のセルフケア

①無理に寝ようと頑張らない

眠れないのに無理に寝ようとベッドの中で頑張っているとベッド=眠れない場所、苦しい行為と頭の中にイメージができてしまい余計に眠れなくなってしまいます。

眠れない時はベッドから出る、何時に寝ても起きる時間を同じにするなどアプローチの方法を変えてみましょう。

②適度な飲水、飲酒

飲酒などが多い場合は湿熱タイプになりやすく、逆に飲水などが少なすぎると潤う力が低下し陰虚タイプとなるため飲みすぎ飲まなすぎには気をつけましょう。

③深部体温を下げる

深部体温を下げて皮膚温度を上げると眠りやすくなります。

手足から熱放散することで深部体温が下がるので、寝る前の足湯などは熱放散を高めるためおすすめです。

逆に靴下を履いたまま寝たり、電気毛布を入れたまま寝ると熱放散が起きず睡眠の質が悪くなるので注意しましょう。

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年

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