大田区大森・山王の鍼灸院、りゅうしん堂では
下痢をどうみるのか
東洋医学と西洋医学の視点を織り交ぜながら
ご紹介します。

下痢

下痢とは?



便の中の水分量が増加した状態です。

下痢の持続期間が2週間以内のものが急性下痢、4週間以上のものが慢性下痢に分類されます。



東洋医学では飲食物の消化吸収と便の排泄には脾胃(胃腸)が関わっていると考えられています。

また、肝の気を調節する機能は脾胃の働きを補助し、肺や腎は津液(水分)の代謝に関わっています。

そのため脾胃以外にも肝や肺、腎に機能失調があることでも下痢になる可能性があります。

下痢の男性

下痢に鍼灸が効くメカニズム

○消化管運動への作用

腸の運動が弱まると便秘になり、運動が異常に亢進すると下痢になります。

ラットを対象にした研究では足三里(足のツボ)へ鍼通電刺激を行うと腸の動きが促進されることがわかっています。

一方、腸の動きを異常に亢進させた状態のラットの足三里に鍼通電刺激を行うと腸の動きを抑制する効果があることがわかっています。

面白いことに同じツボに同じ刺激をしても状態の違いで作用が真逆になり便秘でも下痢でも改善に向かう働きがみられます。

この効果は副交感神経が関与していると考えられています。

○腸の過敏性への作用

内関(手のツボ)と足三里、合谷(手のツボ)と足三里の組み合わせで鍼通電を行うと腸の知覚閾値が上昇、つまり過敏になっていた腸を落ち着かせると報告があります。

下痢の6タイプ

下痢では次の6タイプがよくみられます。

①寒湿(かんしつ)タイプ

寒邪、湿邪が脾胃の機能を低下させ下痢が起こるタイプ。

✅水様便または未消化便

✅悪臭はない

✅食欲が低下する

✅腹痛がある

などの特徴があります。

寒い環境でお腹を冷やすことなどで起こりやすくなります。
悪寒や発熱などが併発し胃腸カゼになることも。

②湿熱(しつねつ)タイプ

湿邪、熱邪が脾胃の機能低下を引き起こし下痢になるタイプ。

✅便の粘性が強く、スッキリ出ない

✅臭いが強い

✅腹痛がある

✅肛門部に灼熱感を感じる

などの特徴があります。

大量の飲酒や辛いものの食べすぎなどで起こりやすくなります。
飲みすぎた次の日などに起こりやすい。

③食滞(しょくたい)タイプ

飲食の乱れで消化不良となり下痢が起こるタイプ。

✅お腹が張る

✅腹痛があり、便が出ると腹痛は軽減する

✅口の中が酸っぱく感じる

✅便は悪臭を伴う

などの特徴があります。

生ものや冷えたもの食べすぎ、または脂肪分の多い食べ物の偏食などで起こりやすくなります。
食べすぎ注意。

④肝脾不和(かんぴふわ)タイプ

肝の機能が失調、その影響が脾に波及し下痢が起こるタイプ。

✅普段から胸やお腹の張りを感じる

✅精神的な緊張を感じると腹痛が起こる

✅食欲不振がある

✅口の中が酸っぱく感いる

✅ゲップが出やすい

などの特徴があります。

感情の変化が激しい、または精神緊張で起こりやすくなります。
過敏性腸症候群などもこのタイプであることが多くなります。

⑤脾胃虚弱(ひいきょじゃく)タイプ

脾胃の機能が低下して下痢が起こるタイプ。

✅食欲不振がある

✅疲労感や倦怠感が出る

などの特徴があります。

慢性疲労や慢性病などで胃腸が弱った人で起こりやすくなります。

⑥腎陽虚(じんようきょ)タイプ

腎陽虚となり下痢が起こるタイプ。

✅早朝に腹痛と共に下痢が起こる(五更泄瀉)

✅手足が冷えやすい

✅足腰のだるさがある

などの特徴があります。

慢性病や老化により起こりやすくなります。

下痢のツボ

下痢全般に使うツボ(基本のツボ)とタイプ別に使うツボがあります。

○基本のツボ

陰陵泉、足三里。

下痢はどの病態でも脾胃の機能が失調して起こります。

脾のツボである陰陵泉、胃のツボである足三里をよく使います。

下痢のツボ

○タイプ別のツボ

①寒湿タイプ

中脘や関元など。
→冷えを取る。

②湿熱タイプ

曲池など。
→熱を取る。

③食滞タイプ

中脘や天枢など。
→消化不良を改善する。

④肝脾不和タイプ

太衝や内関など。
→気のめぐりを良くする。

⑤脾胃虚弱タイプ

脾兪など。
→弱った脾胃を強くする。

⑥腎陽虚タイプ

 太渓や腎兪など。
→腎の機能を高める。


※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態によって変えていきます。

下痢のセルフケア

①お腹を冷やさない

お腹が冷えることで下痢になったり症状が悪化しやすくなります。

お腹を冷やさないように気をつけましょう。

②偏食を避ける

辛いものの食べ過ぎや特定の食べ物の偏食は胃腸に負担をかけるため、バランスのいい食事を心がけましょう。

③ストレスを溜めない

過敏性症候群などストレスで下痢が起こるためストレスを溜めないことが大切です。

適度な運動はストレス発散にもなりおすすめです。

急性で症状が激しいのも、嘔吐を伴うものなどは食中毒や腹膜炎の可能性もあります。
その場合はまずは病院へ行くことをお勧めします。

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年

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