大田区大森・山王の鍼灸院、りゅうしん堂では
気分障害(抑うつ)をどうみるのか
東洋医学と西洋医学の視点を織り交ぜながら
ご紹介します。

気分障害(抑うつ)

気分障害とは?



気分障害とは気分が高揚する「躁状態」、気分が落ち込む「抑うつ」、躁とうつを繰り返す「双極障害」などがあります。

気分障害(抑うつ)の女性

抑うつとは悲しみや喜びの消失だけでなく、集中力の低下、疲労感、性欲の喪失、睡眠障害などが起こる症状であり、しばしば自殺念慮がみられます。



抑うつの正確な原因は不明ですが、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった脳内の神経伝達物質の調節異常、ストレスなど心理社会的因子などの関与が考えられています。

また遺伝因子もあり、抑うつの遺伝率は約50%と言われ、抑うつ症状がある方の第1度近親者には抑うつ症状がみられることが多くなっています。

気分障害に鍼灸が効くメカニズム

気分障害に鍼灸が効くメカニズムにはいくつかの作用が考えられています。

①ホルモン・神経伝達物質の調節

気分障害ではセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった脳内の神経伝達物質のバランスが乱れていることが多くあります。

鍼灸施術を行うとホルモンや神経伝達物質の調節に効果があるため気分障害に有効と考えられています。

②ストレス抑制

ストレスは気分障害を悪化させる原因となります。

鍼灸施術を行うことでストレスに関わるHPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)の過剰な活動を抑える効果が示唆されており、ストレスや不安の軽減に有効です。

③自律神経の調節

気分障害では自律神経の交感神経が優位になっておりリラックスができない状態です。

鍼灸施術を行うことで自律神経のバランスを整え副交感神経を優位にしリラックスしやすい状態にします。

東洋医学でみる気分障害が起こる原因

東洋医学では五臓の心は神を蔵し、精神活動を統率・制御する働きがあると言われています。

また、肝は疏泄機能によって気を調節し情志が過剰にならないように制御しています。

そのため、心や肝の機能が失調することによって気分障害が起こります。

気分障害の5タイプ

気分障害では次の5タイプがよくみられます。

①肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ

肝の疏泄機能が失調することで情志の調節がうまくできなくなり気分障害が起こるタイプ。

✅抑うつ、情緒の不安が起こる

✅ため息がよく出る

✅首肩こりや胸脇部の張りなどを感じる

などの特徴があります。

ストレス、緊張やプレッシャー などで起こりやすくなります。
春は肝と関連がある季節であり、気が上昇しやすい時季のため、このタイプの人は春に悪化しやすい傾向も。

②気鬱化火(きうつかか)タイプ

気滞の状態が続くと熱化し、気がさらに上昇しやすくなり気分障害が起こるタイプ。

✅イライラしやすい、怒りっぽい

✅寝つきにくい(入眠困難)

✅頭痛がある

✅耳鳴りが出やすい

などの特徴があります。

ストレスや緊張状態が長く続くことで起こりやすくなります。
夏は暑く陽気が旺盛で熱症状が強くなるため、このタイプの人は夏に悪化しやすい傾向も。

③気滞痰鬱(きたいたんうつ)タイプ

気滞の影響で津液(身体の中の水分)の流れも滞り痰湿となることで気分障害が起こるタイプ。

✅抑うつ症状が強くなる

✅梅核気(喉に何かが詰まっているような感覚)がある

などの特徴があります。

ストレスや緊張が長く続いていることに加え、飲水量が多い、胃腸が弱いなどがあると起こりやすくなります。
梅雨の時季は湿気が多く痰湿症状が強くなるため、このタイプの人は梅雨や雨の日に悪化しやすい傾向も。

④心脾両虚(しんぴりょうきょ)タイプ

心や脾が損傷し、神を養うことができず気分障害が起こるタイプ。

✅クヨクヨしたり臆病になる

✅疑り深くなる

✅寝ても途中で起きてしまう(中途覚醒)

✅動悸がある

などの特徴があります。

心労が多い、考えすぎる性格などがあると起こりやすくまります。
こころや胃腸が弱くなっている状態、いろんなことが常に頭の中に浮かんでしまう人はこころの栄養が足りてないのかも。

⑤陰虚内熱(いんきょないねつ)タイプ

陰液(身体を潤す力)の不足と内熱の発生によって気分障害が起こるタイプ。

✅思い悩みやすい、不安感がある

✅イライラしやすい、怒りやすい

✅めまいが出る

✅睡眠障害がある

などの特徴があります。

飲水量が少ない、睡眠不足などがあることで起こりやすくなります。
陰液不足の方が強いと不安感が強くなる、内熱の方が強いとイライラが強くなりやすくなります。

気分障害のツボ

気分障害全般に使うツボ(基本のツボ)とタイプ別のツボがあります。

○基本のツボ

神門、百会、四神聡、太衝など。
どの病態でも心と肝が関わっているため、心と肝に関連するのツボを使います。

気分障害のツボ

○タイプ別のツボ

①肝鬱気滞タイプ

内関など。
→気をめぐらせる。

②気鬱化火タイプ

曲池など。
→熱をとる。

③気滞痰鬱タイプ

豊隆など。
→痰湿を取り除く。

④心脾両虚タイプ

足三里、三陰交など。
→気血を補う。

⑤陰虚内熱タイプ

復溜、曲池など。
→ 陰液を補う、内熱をとる。

※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態によって変えていきます。

気分障害のセルフケア

①ストレス発散ができる趣味や運動をする

気分障害は気が滞ることで起こります。

趣味でストレスを発散したり、運動することで気をめぐらすことができます。

②適切な食事を取る

食事が乱れ痰湿になったり、栄養不足で心を養うことができなくなります。

バランスの取れた食事を心がけましょう。

③十分な睡眠を取る

睡眠がしっかり取れないと陰液が減少しやすくなります。

また気分障害でさらに眠れず悪循環になりやすいため注意しましょう。

気分障害はなかなかすぐに治るものではありません。

通常の病院での治療と鍼灸施術を合わせて行うことで治療効果を高められる可能性があります。
病院での治療も併せて行なうことが大切になります、まずはじめは病院への受診をおすすめしています。

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年

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