大田区大森・山王の鍼灸院、りゅうしん堂では
肥満をどうみるのか
東洋医学と西洋医学の視点を織り交ぜながら
ご紹介します。
肥満とは?
体内に脂肪が過剰に蓄積した状態のことをいいます。
日本肥満学会では体格指数【BMI=体重(kg)/身長(m)2】が25以上のものを肥満と定義しています。
18.5未満:低体重(やせ)
18.5以上25未満:普通体重
25以上30未満:肥満(1度)
30以上35未満:肥満(2度)
35以上40未満:肥満(3度)
40以上:肥満(4度)
体重は
摂取エネルギー>消費エネルギー
という状態が続くことで増加していきます。
食欲やエネルギーの消費量は脳や自律神経、ホルモンなどによって調整されています。
つまり、ただ食べ過ぎや動かな過ぎというだけでなく、この食欲調節システムにどう影響を与えるかが肥満改善につながっていきます。
鍼灸施術と体重管理に関する論文を解析すると、対照群と比較してBMI、体重、腹囲ともに改善が報告されています。
しかし、研究の質にはまだ問題があり鍼灸施術で体重が減少する可能性は確認されているが、「誰でも鍼灸施術をすれば数kg以上確実に痩せられる」というわけではないので注意が必要です。
また、鍼灸施術+生活習慣改善と生活習慣改善のみを比較した論文をまとめた解析では、鍼灸施術+生活習慣改善の方が体重やBMIが改善されたという比較的質の高いエビデンスが確認されています。
これは、鍼灸施術のみ生活習慣改善のみではなく、両者を組み合わせて行った方が改善効果が高いことを示しています。
これらの効果は週2〜3回の施術を8〜12週間以上続けた結果による研究報告であり、変化を起こすには鍼灸施術を継続することが大切になってきます。
肥満に対してはいくつかのメカニズムが考えられています。
脳の視床下部には食欲促進と食欲抑制に関係する神経回路が存在します。
鍼刺激を行うと、食欲促進の回路を抑制し、食欲抑制の回路を促進すると基礎研究の結果などからいわれています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらの働きは消化管の機能やエネルギー代謝にも関係しています。
鍼灸施術をすることで自律神経が刺激され、消化管の機能やエネルギー代謝に影響を与える可能性が研究されています。
ストレスがかかると脳の報酬系が刺激され過食になってしまうことがあります。
鍼灸刺激はストレスを抑制する方向に働き、その結果、過食が軽減されストレス太りを抑えられると考えられています。
脂肪組織には白色脂肪組織(主にエネルギーを蓄える)と褐色脂肪組織(熱を作りエネルギーを消費する)があります。
鍼灸刺激、とくに鍼通電を行うと、白色脂肪組織が褐色脂肪組織に似た性質も持つようになることで(ベージュ化)エネルギー消費が増すといわれています。
この研究は動物実験や基礎研究が主であり、人間にどこまで当てはまるかはまだ分かっていません。
これら以外にもホルモンへの作用、糖代謝・インスリン抵抗性、炎症反応抑制、腸内環境の改善などが肥満改善のメカニズムとして考えられています。
東洋医学では痰湿(たんしつ)という余分な水分が身体に溜まることで肥満になると考えられおり、よくみられる肥満には次の3タイプがあります。
脾(胃腸)の機能が失調し、食べたものをうまく消化吸収できず痰湿がたまることで肥満になるタイプ。
✅皮膚が緩んで締まりがない
✅動くのがおっくう
✅息切れしやすい
✅軟便になりやすい
などの特徴があります。
胃腸が弱い人、偏食などがある人に起こりやすくなります。
身体にたまった痰湿に熱が加わることで肥満になるタイプ。
✅全身的な肥満になりやすい
✅皮膚が張り赤みを帯びる
✅顔が脂っぽい
✅ニキビが出やすい
などの特徴があります。
脂っこいもや肉など熱傾向の食べものの偏食が多い人に起こりやすくなります。
気が滞り生理物質の動きが悪くなり痰湿が溜まる、またはストレスで暴飲暴食し痰湿が生じることで肥満になるタイプ。
✅イライラしやすい
✅胸や脇の張りを感じる
✅肩こりを感じる
✅食欲が増す
などの特徴があります。
ストレスが多い人、抑うつ状態が続いている人で起こりやすくなります。
肥満全般に使うツボ(基本のツボ)とタイプ別のツボをご紹介します。
陰陵泉、豊隆など。
→身体に痰湿が溜まることで肥満となるため、痰湿を取り除くツボを使います。
神門、飢点、内分泌など。
→耳つぼ刺激によって食欲を抑えます。
上記のツボにそれぞれのタイプに関連するツボを合わせていきます。
足三里、脾兪など。
→弱った胃腸を強める。
曲池、内庭など。
→痰湿と合わせて熱をとる。
太衝、内関など。
→気の流れを整える。
※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態によって変えていきます。
肥満のセルフケアを3つご紹介します。
脾気虚タイプや湿熱タイプは食事量や食事内容の乱れが原因で起こります。 バランスも気にしながら食べ過ぎに注意しましょう。
運動によって生理物質を流し脂肪を燃焼させることが大切です。
まずは歩くだけでもいいので動く習慣を身につけましょう。
過度なストレスを避けることで肝鬱気滞タイプによる肥満を避けられます。
適度なストレス発散がおすすめ、時にはストレスから逃げることも大切です。
東洋医学では肥満は食べ過ぎや運動不足だけでなく、体質や内臓の状態など身体のバランスの乱れが影響していると考えられています。
闇雲にダイエットをするよりも、原因にあった施術を行うことが肥満改善への近道になります。
まずは一度ご相談ください。
参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年
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